ワインの玉手箱その3
私の『記憶の玉手箱』の中には、「マリー・ローランサン美術館」の裏のホテルのレストラン、が、ひっそりと存在します。長野県茅野駅からピラタスロープウェイ行きのバスに乗って30分、
ビーナスライン沿いの蓼科湖畔にあった「マリー・ローランサン美術館」は、当時世界で一つしかないマリー・ローランサン専門の美術館として、それはそれは有名だったのですが、、、2011年に閉館してしまいました。
お気に入りの場所だった理由は、当時、蓼科へ転勤していたウチの魔法使いさんの元へ、月1で会いに行っていた、その待ち合わせ場所のひとつが美術館の裏のレストランだったからです。午前中は美術館でゆっくり絵を観て、おなかがすくとレストランへ。そんなお気に入りの場所が、蓼科にはあちこちにありました。
初めてその美術館へ行ったのは、時間があったからにすぎません。1995年あたり。
1979年に東京で開催された「マリー・ローランサン展」に行った時は、ピカソが認めた女性の絵って、どんなん?という興味から。マリーの最初のご主人を彼女に引き合わせたのはピカソだったので、ピカソ好きの私としてはそれだけで観に行く理由があったわけです。でも、その時の展示は、誰でも知っているローランサンピンクで、正直、ピンク綺麗だな、、で終わってしまい、以後は見ていないので、蓼科で彼女の初期の絵に出会うまで、なんと15年以上の時間がたっていたのでした。
ローランサンピンクが確立するの前の絵。一言で “悪く表現” してしまえば陰鬱。驚くほどに暗い。
「これ、誰が描いたの? えっ??」
と目を疑ってしまう位、ピンクに至る道のりが全く見えてこない、それほどタッチが違って見えて、、、。
だのに、離れられない。その絵の前から動けない。暗いのにリアルだのに生きてる。
なんで?
なんでこんな絵が描けるの?
それはそれは本当に驚いた瞬間で、私はあとから来た魔法使いさんに
「$%Ω#‱ψ£÷㎡~~~~~!!!!」
と、まくしたてるように報告したのでした。
そしたら魔法使いさん、
「初期の絵、素敵でしょ? 彼女の絵、興味ないって言ってたから言わなかった」
え~~~~~~~~! 教えてヨーーーーーー。
知らない、ということは罪だ、と、その時心底思ったものです。
あのピンクに至ったわけが、軌跡が、そこにはありました。
あの美術館に所蔵されていた500点余りは、ある一人の方の個人所有のコレクションだったと、あとから知りました。
なんと大手タクシー会社「グリーンキャブ」の創業者の髙野將弘さん。普通、個人美術館というのは、画家本人からの寄贈や、画家を直接支援したパトロンの出資などによって造られるのが殆どらしいのですが、髙野さんはマリー・ローランサンとはなんの面識もなく、あくまでファン、コレクター。だのに、世界で唯一のマリー・ローランサン美術館を設立してしまった!
世界的に見ても他に類がない、というだけでなく、ローランサンの母国であるフランスにもない美術館だった、というのですから、凄すぎる話ですよね。
魔法使いさんが蓼科に行っていた頃、私は身体を壊して休職していた時期だったので、月1の現地デートはたったひとつの楽しみ、と言っても過言ではありませんでした。
絵のあとはランチ。ですがランチタイムの終わる頃には、私以外のお客は誰もいなくなり、ホテルだのにバータイムまでしまっちゃう?位に閑散としてしまうレストラン。いつもランチタイム終了間際のぎりぎりで頼むランチセット。魔法使いさんが仕事が終わって駆け込めるのは更にもう少しあと。それからでは、もう、ランチを食べることのできる店がどこにも開いていない、、、、という、都会では考えられないような場所。
「冷めてしまって申し訳ないですねぇ」
と恐縮しながらいつもぎりぎりで出してくださったホテルの方(魔法使いさんがその時間でないと到着できないことをいつの間にかわかってくれていた)
魔法使いの嫁は、いつも先に一人で “地のワイン” を飲んでおつまみ頂きながら、本読んで待ってました。
グラス1杯が2杯になり、3杯になり、、、笑。
あの時、出会った絵の名前、残念ながら覚えてはいないのです。
一番気に入った絵は、絵ハガキになっていなかったので、タイトルが、、、もう忘却のかなた。
窓辺に肘をついて、何かを見ている女の人、でした。
ものうげ、という表現があっているなら、それしか思い浮かばなかった、が正直なところ。
感動したのは、その女性でしたが、好きになったのは、1912年に描かれた
『ピアニスト』
ピアノを弾きながら、後ろで喜んで飛び跳ねた犬の方に振り返ったさまが、自分と先代のワンの姿にリンクしてしまい、絵ハガキを1枚だけ購入してきたのです。
もうピアノもないし、ワンも天国だし、美術館もそのホテルもなくなり、その1枚の絵ハガキだけが残された想い出のかけらですが、仕事机に置かれたその絵ハガキを見ると、暖かい風がほわっと吹いた気がするのは、記憶が優しいからだということに、今頃気が付きました。
窓辺の女の人の絵、許されるならもう一度会いたい。
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ご要望にお応えして、玉手箱の第三弾は、赤だけのセットです。
オーストラリア、イタリア、フランス。地域も品種も違うお楽しみセットです。
いかがでしょうか?
ワインの玉手箱その3
おまかせ5000円赤だけセット
赤だけ3本のセットです。
●マイク・プレス / シラーズ 2016年 ワインの詳細は下記をご覧ください。
シラーズ以外にメルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワールがあります。
4種類の中から1本が入ってます。何が入っているかは箱を開けてからのお楽しみ。
●テッレ・チェヴィコ / “マレー・ディオーネ”ネーロ・ディ・トロイア・プーリア・オーガニック2018年 ワインの詳細は下記をご覧ください。
最後の1本は今日のお薦めのワイン
●マス・ド・ジャニーニ / ル・タン・デ・ジタン・カリニャン 2017年
https://nuimama-ny152.shop/?pid=144853850
生産者 : マス・ド・ジャニーニ
地 域 : フランス > ラングドック
品 種 : カリニャン
栽 培 : ビオロジック
認 証 : エコセール
ワイン専門誌で「旨安ワイン大賞」を受賞した人気キュヴェです。コミカルで陽気なエチケットとキュートなコルクが一際目を引く南仏ビオワインで、「ル・タン・デ・ジタン」の赤ラベルは、ニームとペジェの間にあるサン・ボジル・ド・ラ・シルビー村の高樹齢カリニャンを丁寧に醸造しました。
透明感のある紫色、スミレや乾燥ハーブなどの清涼感ある香りに程よいボリュームを伴うジューシーな味わいのミディアムタイプです。
この価格帯のカリニャンの中では、画期的に美味しいお薦めの1本です。
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