ワイン手帖

ワインショップ「Shopgirl_NY152 」 エッセイ&ワインこぼれ話

北海道大好き 2 原田康子バージョン

 

先日載せた、北海道大好き話し、お読み頂いてありがとうございました。 

 

wine-techo-kotonoha.hatenablog.com

 

 

読んでくださった北海道の方から素敵な写真を頂きました。藻岩山の山頂からの眺め、風が冷たかったようです。。。東京暑いの。。その風、ちょ~だい。

 

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藻岩山

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アイヌ語でインカルシペ 常に望むところ

 

凄いんです!以心伝心とでも申しましょうか、、、

この写真が届くほんの数分前のこと、北海道大好きの続き書いちゃおかな、原田康子さんバージョンで、満月にしようかな、殺人者にしようかな、なんぞと思いめぐらしていたらラインが到着。見たらこの写真!

えっ?! 藻岩山? これはもう原田康子さんが

「『満月』で喋ればいいじゃないの」

と、天国で仰っているようなものではないですか。 勝手に知りあい扱い 笑

 

という訳で、今日は北海道が生んだ小説家、原田康子女史の『満月』についての大好き話しです。

 

私が北海道大好きになったきっかけはアイヌだった、という話は先日させて頂きましたが、更に北の大地に憧れて止まない理由は、原田康子という小説家、彼女の書いた『挽歌』という小説に出会ったからかもしれません。

それまで現代日本女性が書いたものを読んだことが皆無だった私は、本屋でふと手にとった2冊の小説、『挽歌』と『北の林』に、なぜか異常なまでの興味が湧き、速攻でレジに持って行ったら、

「これいいよ」

という店主のオジサンの一言付き。

 

地元の小さな昔からの本屋さん、中学生の頃には既にいりびたっていたので、会話は全くしたことなかったですが、顔は覚えられていたのでしょう。翻訳ものしかレジに運ばなかった私が初めて手にした日本の女性の書いた小説。だからオジサン、思わず声をかけちゃった?

男性が読んでも「いい」と思える小説って、どんなん?

それが出会いでした。多分、私20歳になるかならないか位の頃。

 

一晩で2冊読破し、翌日、本屋にあった残りを全部買い、それでも足りなくて、学校の帰りに新宿の大きな本屋に駆け込んで、取りあえず出版されているものは全部買いこみました。そして、それから、新しい本が出るのを今か今かと待つ生活が始まったのです。そんなに筆の早い方の小説家さんではなかったので、その当時手に入った冊数などたかがしれていて、こういう状態って麻薬の切れた時の禁断症状に似ているのだろうか、とさえ思ったほど、彼女の小説の中毒に陥ったのでした。

ですから、待ちきれなくて、待っている間に『殺人者』の模写をしたほどです。

 

今現在、本屋の店頭で彼女の書籍を目にすることはまずないでしょう。ネットでは買えますが。

ですから、お若い人は名前すら知らない、という方がいらっしゃるのではないでしょうか。

 

原田康子さんは、釧路新聞に勤務されていた時に同人雑誌「北海文学」に処女作『冬の雨』を発表し、文壇デビューされました。「挽歌」は北海文学に長編として連載されていたものがのちに出版され、映画化までされた大ベストセラーで、翻訳され海外数ヶ国でも出版されているのですが、意外に知られていませんよね。

2009年にお亡くなりになるまで、女流文学賞は2度、吉川英治文学賞、北海道文学賞、だの賞もあれこれ受賞されていて、残した本の数は30冊位でしょうか。北海道と言えば原田康子、というほど、売れて有名になってからも北海道に住まわれ続けた方だったのです。

 

彼女の小説で、いまだに年に1度は読み返しているのが『満月』。

朝日新聞社から刊行されていた「週間朝日」に、昭和58年10月号から翌59年9月号まで、約1年間に渡り連載されていたもので、のちに新潮文庫から出版されましたが、私のは勿論朝日新聞社から出たもの。 

 

何度も読み返されているその本は、紙もだんだん色あせし、古い本特有のシミも出ている年代物ですが、大事な宝物のひとつです。

 

で、なぜに藻岩山の写真が届いた時に、その『満月』と結びつけたのかと言うと、藻岩山がストーリーの中に登場していた、というただそれだけ。笑

 

ネタバレしますと、

300年前、弘前出身の侍が藩の密命を受け蝦夷地へ赴いたが帰る手段がなくなり、アイヌのフチ(まじない婆)のまじないで故郷に帰ろうとします。満月の夜、フチのまじないで帰れる筈が、、、。間違って、現代・昭和(本のリアルタイム)の札幌にタイムスリップしてしまい、偶然、出くわしてしまった高校教師のまりを追いかけて、まりの(祖母の)家に転がり込んでしまう。最初まりは気がふれた変な奴扱いだったのですが、いつしか恋をするようになり、、、しかし一年後の満月の夜、彼は時空の違う別の世界へと戻っていってしまった、というタイムスリップ話。

 

藻岩山は、二人が少しずつ相手を意識し始めた頃、まりが彼を初めてスキーに連れて行った山だったのです。藻岩山だけでなく、出てくる場所、地名、アイヌの歴史等が凄く細かく丁寧に表現されていて、北海道のバイブルかと思ったほど。彼女の小説は、北海道の作者が北海道を舞台にして描いている、というある意味リアルで、そこからくる抒情性が、圧倒的にそれまで海外の小説ばかりに気を取られていた私には斬新で、心の奥の方を冷たい華奢な手でそっと握られてしまった感が、一種の快感にも似ていて、それが彼女の小説に溺れることになった所以かと思うのです。

『満月』のストーリーなんて、隅から隅まで知っている筈なのに、読む度に最後で泣いてしまい、最後は賛否両論ありますが、私は、あれはあれでよい!と思ってます。

 

全て読んだと思っていたら、2000年に書かれた『父の石楠花』だけがまだでした。買わなくちゃ。

 

 

 

 

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今日のお薦めのワイン

テッレ・チェヴィコ / “ゼンサ” ロッソ・プーリア・オーガニック 2017年

https://nuimama-ny152.shop/?pid=144980637

 

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テッレ・チェヴィコ / 新商品 “ゼンサ”

 

生産者 : テッレ・チェヴィコ社

産 地 : イタリア > プーリア州     (本拠地)エミリア・ロマーニャ州  

品 種 : ネグロアマーロ65%、プリミティーヴォ25%、カベルネ・ソーヴィニヨン10%


 創業は1963年。テッレ・チェヴィコ社の歴史は、200年以上もの間、トスカーナロマーニャの間の絵画のように美しいアペニン丘陵に広がるブドウ栽培に最適な土地で、ワインを製造していた生産者たちが、1950年代前半に共同でワインを造り始めたことに端を切りました。 
 今では、ロマーニャ全域でワイン造りを行っており、特にサンジョヴェーゼ種やトレッビアーノ種などを使用した、ロマーニャ地方特有の伝統的なワインを幅広く生産していることで有名。 そんな生産者がプーリア州で新しく造ったワインのご紹介です。

 ZENSAはイタリア語で「~なしで」を意味するSENZAからの造語。科学的な農薬や肥料を使用せず、環境に配慮して造られた有機ワインであることを表しています。ネグロアマーロ、プリミティーヴィ、カベルネ・ソーヴィニヨンを同じ方法で別々に醸造して造られたワイン。
 30%はフレンチとアメリカンオークのバリック(小樽)で12ヶ月熟成のミディアムタイプやや辛口。

 
 ブルーベリーやシナモンを想わせる複雑な香りも魅力的。樽熟成によるスパイスの風味が心地よく感じられます。重たいフルボディではありませんが、豊かなボディはありますし、しなやかでバランスのよい味わいです。
 赤身肉のローストや熟成したチーズと合わせてお楽しみください。

 

 

 

 

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