『ベニスに死す』にアダージェットが使われた理由

マーラーのアダージェットと言えば、『ベニスに死す』であまりにも有名になってしまい、マーラーがそんなに得手ではない私でも確かにこれはいいと思う、、、と言ったら、きっとマーラーファンに文句言われそう。

学生の頃、どうしてアダージェット（マーラー交響曲第5番第4楽章）が使われたのだろう？

あの部分、バーバーの『弦楽のためのアダージョ』でもよくない？

と、真面目に想っていたことがあって。

単純に雰囲気だけ考えると、それもありだと思いませんか？

もっとも、ベニスに死すの作者、トーマス・マンがモデルにしたのは、自分自身と、友人であったマーラーなので、だから音楽もマーラーを使うのは当たり前で、葬式のイメージがついていたバーバーの『弦楽のためのアダージョ』が使われる訳はないね、というのはあとからわかったことなのですが。

バーバーにしてみたら、あの曲は葬送曲として書いたんじゃないよ、と言っています。やはり、イメージがついてしまったのは、ケネディ大統領の葬儀で使われたからでしょう。それは、作者本人にしてみたら、名誉なことなのか、迷惑な話だったのか、実に微妙ですが、、、。

くどいようですが、ベニスに死すの砂浜のシチュエーションで、弦楽のためのアダージョが流れていても、そんなに違和感ないですよん。笑

でもま、もし「弦楽の～」だったら、地味なので、どこまで引っ張れたかは、わからんちん。

さて私、学生時代、ヴィスコンティ監督が大好きで、御多分に洩れず『家族の肖像』を見て「ハマッタ」口です。1978年公開。

ヘルムート・バーガーにひとめ惚れ（なんと、なんと、トム・ハンクスさんよりも前に好きになった人、いるのですよ）、当然監督はどなた？というわけでヴィスコンティにたどり着き、俳優ではなく監督に興味が湧いた初めての人で、彼が監督した作品を立て続けに観に行ってどっぷりと、はまっていましたなぁ、、、ワタクシ19歳。

ですから今でも、マーラーの5番がかかっていると、条件反射で『ベニスに死す』→『地獄に堕ちた勇者ども』『ルートヴィヒ』（ドイツ三部作ですね）へと、記憶の通路を辿って行くことになるわけです。

正直、マーラーさん、ばらすとそんなに得手ではないのですわ。

5番は最初のペットが好きで聞き始めた曲なので、未だにペットとホルンしか耳に入ってこない。笑

アダージェットは、恐らく『ベニスに死す』効果でしょう。

日本ではマーラー人気たるや凄いものがあるので、決して嫌いとは申しませんが、お誘いを受けてもパスします。

ちなみに、ヘルムート・バーガーって『ゴッドファーザーⅢ』に出演していたのですが、知りませんよねぇ～～

お鍋にサマーワインをあわそう！

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