おもてなしワインの選び方(赤編)
「お客様に出すワイン、何にしよう?!」
と、悩んだり、迷ったりしたことありませんか?
たまにその質問を受けます。
考え方は色々で、レストランのソムリエさんにもよりますし、おもてなしされるお客様にもよりますが、今日は私の場合を挙げてみます。参考意見のひとつにして頂ければ嬉しいです。
これはあくまで、最初からソムリエ任せにするのではなく(最後はソムリエに任せるとしても)、あなたがホスト側にいる場合を想定しています。ご自宅でするホームパーティなんぞはまさにこれかと。
まずここで、“先に”、ややこし~~~話をしておきますね。
食事を一緒に食べたことがある、ワインを一緒に飲んだことがある、という場合に、陥る罠があるのをご存知ですか?
それは、相手の好みを知っている “つもり” になっている、という錯覚です。
〇〇が好き、××は嫌い、という具体的な好みを聞いて知っている場合はよいのですが、相手が何も感想を口にしていないにも関わらず、ホストであるあなたと一緒に時間を過ごしたことがあるというだけで、「あの人、私とワインの好みが同じ」と勘違いをしている方、実はかなり多いです。
実際、私がやっている会に出席して、初めて互いの好みが全く違っているのを知った、というお友達同士の方、けっこういらっしゃいます。
これはちょっと、避けたいですね。どちらかが我慢、いや、もしかしたらお客様が我慢することになってしまうかも。それは、おもてなしではなく、お客様にお付き合い頂いた、ことになってしまいます。
次に、重さに対する錯覚です。これ結構難しいです。
皆様は、
「ライトボディ」
「ミディアムボディ」
「フルボディ」
という言葉を聞いたことありませんか?
これは赤ワインに対して使う表現方法のひとつなのですが、簡単に言うと、飲んだ時の重さの感じ方を万国共通で示しておこう、という、いわばあんちょこのようなものです。選びやすいように。
簡単にわかりやすくご説明しますと。
「ライト」ボディ・・・飲んだ時に水のようにゴクゴク飲める感じ ➡ つまり軽い。
「フル」ボディ・・・・飲ん込んだ時に、ドシン、ズシン、とくる感じ、水のようにゴクゴクは飲めない ➡ つまり重い。
「ミディアム」ボディ・・・ライトとフル、ふたつの中間です。ぶっちゃけ非常にアバウトで範囲が広い。
ライトよりのミディアムもあれば、フルよりのミディアムもある。だから、一口にミディアムボディと言っても、感じ方は人それぞれ千差万別。
水に例えると、ミネラルウォーターの軟水は、ライトボディとかミディアムボディ側。硬水はフルボディ側。コントレ〇〇ス、なんて、グビグビ飲める方、そんなに多くはないですよね?
なんとなくでも納得して頂けましたか??
ワインは嗜好品ですから、この感じ方にも正解はないのです。
それが、実は一番の曲者!
例えば、重さの数値を1~100に置き換えてみた時に、一番軽いのが1、一番重いのが100とします。
皆で一斉に重さの数値50のものを飲むとします。
フルボディ、100の重さが好きな方は、何を飲んでも全て軽く感じます。
50位のミディアムが好きな方は、丁度よい重さだと感じます。
20位のライトが好きな方は、重いな、と感じます。
1の好きな方は、めちゃくちゃ重たい、と感じます。
感想が全員違うのはその為なのです。
ここでもうひとつ更に問題が、、、。
本人の自己申告、あてにならない方が多いですーーー。
ぶっちゃけ、あまり信用しない方がよいかも、笑
それはプロではないので、勘違いしていたとしても全く問題ないのですが、もてなす側はそれに慣れていないとまごつくかもしれません。
「重いものはあまり飲めないです」
という申告された方が、実はバリバリ90位の重さが一番好きとか。逆に
「重いもの好きです」
という方が、50でも重いと感じ、30~40位が好きだったとか。
私に言わせれば、
「みんなウソやん」
(声に出して言ってはいないですよ)と、思うことなんぞしょっちゅう。笑
それでもよいのです。嗜好品ですから。
それを聞き取って、上手く調整してあげるのが、私たち側の仕事ですから。
私たちはそれでお金を頂いているのですから。
「えーーーーーー、そんな面倒なこと、しなきゃいけないの?」
って思われたホスト側の方。
大丈夫です。今までお話ししたことは、頭の隅っこの方に押しやってOK~~。
でも、どこかの引き出しにはしまっておいてください。
ここからが、私がいつも最低限やっていることをお話しします。
「どんぴしゃ」「ど真ん中」の好みのものを最初から出すのは諦めた方がよい。
それよりも
「嫌い」「苦手」なものを出さないようにしよう。
それだけで、味覚探知の半分はクリアしたことになります。
つまり、一緒に飲む前に私が確かめているのは、相手の好きなワインではなく、「苦手なもの」、「嫌いなタイプ」です。
答えられない方(どう表現してよいかがわからないという方)でしたら、あまり個性的なものは避けてあげる方が安全です。
何故、好きなワイン(の銘柄)ではなく、苦手なものなのか?
それは、ピンポイントで〇〇好き、と仰る場合は大概、本人の経験値がそれしかない、或いは少ない場合が大半で、そのピンポイントが用意できない場合は全て要望にかなっていないことになってしまうからです。
ホストであるあなたの予算が、ワイン1本1万円だったとしましょう。
そのピンポイントが1本10万円ならどうしますか?
逆に1本1000円だったら?
前者なら最初から詫びなければなりませんし、後者なら(安い経験値しかないので)相手=お客様に恥をかかせることになってしまいます。それはどちらも面倒ですよね?
だから、消去法で、苦手なもの・嫌いなタイプを外すことで、大まかにざっくりと、美味しいと感じて頂くわけです。
もう少し、ホストのあなたにゆとりがあるなら、酸味はどうか、も、ヒアリングしておくと選ぶ範囲が広くなります。
単刀直入に
「酸味は大丈夫ですか?」
と聞いてしまうのです。
「酸味」という言葉は、ワインに慣れている方なら、それは直ぐにピノ・ノワール系の葡萄を使ったワインに結びつきますので、好きか嫌いかをはっきりと意思表示してくれます。
そこまで品種に詳しくない方は、「大丈夫」なのか「苦手」なのかを言ってくれる筈。
わからない、と答えた方は、最低限「苦手」ではないので、「試してみる」か否かを確認する。
それだけでも範囲はかなり広がりました。
レストランでソムリエに選んで貰う場合は、ホスト側であるあなたが、お客様の苦手なものを伝えてあげる、というのも大切なことなのです。
ワインをご自身が購入して、おもてなしする場合は、お客様からヒアリングしたことを購入する店主に伝えればよいのです。
私に注文してくださるお客様に多い注文の仕方が、「お任せ便」です。
私が今までその方からヒアリングしてきたことを踏まえて選ぶ、という箱です。
最近、全く好みを存じ上げていない方からの注文もあり、苦手なものは申告してくださいねー、と都度、申し上げてますが、何も申告ない方は、好みのキャパが広い方ですね。
お送りしたものについて、丁寧に写メで「これ感激した」とか「これ苦手」と、感想を送ってくださる方もいらして、その方の好みの系統が段々わかってくるので、次回にはその苦手なタイプを外して選んでます。
一番大切なことは、ホストの気持ちかと。
「これ飲ませてあげたいな~」
が、根底にあれば、大概は上手くいく。筈です。
初めてのホストで、100%の満足を得ようとしないこと。
苦手なもの、嫌いなタイプを出さないことで、安全圏を狙えること。
個性的なものは避けよう、これも安全圏に収める手。
強い人(重たいもの大好き)な方に合わせると、弱い人が可愛そうなので、人数がいる時は弱い人軍団に照準を合わせてあげよう、それ、はっきり言ってもよいことです。
数名のお客さまがいる場合、一番もてなしたい人がいる場合、明らかに全員がその順列をわかっている場合は、その一番さんに照準を合わせてあげ、他の方にはうまくそれを告知しよう。その日のもてなしの趣旨を伝えるとか。それ、意外に大切。
食事とのマリアージュは忘れてはいけない最も大切なこと。なので、ソムリエもしくは購入するお店の店主に直接相談。
予算もね。これも大事。
レストランでお客様の前で予算を言えない場合は、予約を取る時にソムリエに直接、事前にお願いしておく、という手もあります。
それも安全圏ですね。
まだまだ、ありそうな気はしますが、最低限のヒアリングについて、挙げてみました。
今回は特に赤に絞ってみました。質問ある方は、このブログ内でも下記に挙げているメールに直接でも、お気軽にご連絡ください。
他にも、色々、立場違えばあるかと思いますが、今回は最低限、のことなので、これから追々、色付けしていけたら、と思います。
ここまで読んで意外に思われた方もいらっしゃるのでは?
安全圏狙い過ぎてない??
そうですね。好みがわからない方にお出しする場合は、私はかなり安全圏狙っていくかもしれません。
その次に繋げる為に。
私がその人の「嫌いな物は出さない人」だよ、とわかって頂く為に。
結果的にそれが次の冒険に繋がったりしていくので、最初から高見は目指さず、一歩一歩、おもてなしも長い目で見て、考えています。
私は選ぶ時が一番楽しくて、ワクワクしている時間なのですが、皆様はいかがですか。
そんな「ワクワク感」をホストの方と共有していけたらな、と思うのです。
ワインて、これ以上ない位に奥が深くて、神秘な飲み物なのですよ。
たかが葡萄。
されど葡萄なのです。
今日は、おもてなしの最後にお出しする「〆のワイン」をご紹介します。
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今日のお薦めのワイン
クライネン・フリッツ / ブランド・ノワール・アイスワイン 2008年
https://nuimama-ny152.shop/?pid=135280898
生産者 : クライネン・フリッツ(=ベッカー Jr.)実は、フリードリヒ・ベッカーさんのご子息
地 域 : ドイツ > ファルツ地方
品 種 : ピノ・ノワール100%
ベッカー醸造所にはアイスワイン用の畑はないので、信頼の於ける生産者の畑をお借りして、Jr.が監修しているワインです。「クライネン・フリッツ」の名で送りだしています。
このアイスワインは毎年造るわけではなく、しかも造るのは主にピノ・ブランなので、ピノ・ノワールで造った貴重な、コスパ抜群のアイスワインです。アイスワインというのは氷結果肉から造られたワインのことです!!
この価格でこのお味!!安い!贅沢すぎる! 美味しいの一言!
透明な甘味ですね。
おもてなしの最後の〆に使いデザートワインです。
食前、食中、ではなく、デザートと一緒に(コーヒー・紅茶の前に)飲むワインです。
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最後までお読み頂きありがとうございました。