キツネと葡萄
こんな可愛いエチケット(=ラベル)、見たことありませんか?
「生産者名は知らないけれど、この柄見たことある、知ってる!」
という方は案外いらっしゃいますよね。
ドイツ、ファルツの生産者、ベッカーさんです。
戦後、ドイツがまだ甘口ワイン用のブドウばかりを栽培していた「質より量」の時代、ファルツの一大協同組合の跡取りだったフリードリヒ・ベッカー氏は、フランスから続くその恵まれた土壌とピノ・ノワールに魅入られ、協同組合を脱退、1973年に独立。
当初、貴腐ワイン用のブドウばかり栽培していた周囲からは、「酸っぱくてまずいブドウ」のレッテルを張られ(この時の逸話を童話「キツネとぶどう」に重ねて個性的なエチケットが誕生した)、激しい非難を浴びながらも、不断の努力とセンスにより、ドイツのピノ・ノワールのトップに上り詰めたただけでなく、ゴーミヨ誌にて前人未到の最優秀赤ワイン賞を8回受賞、世界に名だたる生産者となりました。
『ドイツのDRC』と讃えられるようになって久しいフリードリヒ・ベッカー醸造所。フランス・ブルゴーニュよりさらに北で冷涼な南ファルツのシュヴァイゲン村。この地域ではピノ・ノワールの収穫はブルゴーニュより1ヶ月ほど遅いので、より土壌のミネラルを吸収し、しっかりと熟したブドウからワインを造ります。
ゆえに甘みを感じるほどリッチな果実感と、冷涼産地ならではの酸味とミネラル、そしてエレガントな味わいが特徴のワインが生まれるのです。熟成に使用する樽には自己所有の森のオークも使用されている、スローフード。今回ご紹介するこのワインは2400Lの大樽熟成で、JAL国際線ビジネスクラスにリストアップされた特別キュヴェです。
今もなお、進化を続けているベッカー氏の赤ワイン。ランクも豊富でいまではなんと14!もあるってご存知でしたか?
今日のお薦めのワイン
フリードリヒ・ベッカー / シュペートブルグンダー・ドッペルシュテュック 2014年
https://nuimama-ny152.shop/?pid=135283348
生産者 : フリードリヒ・ベッカー
地 域 : ドイツ > ファルツ
品 種 : シュペートブルグンダー(=ピノ・ノワール)100%
よく、ダサイ、イケテナイ、クソジジイ~な方から
「ドイツのワインてさあー、甘いよねー。辛口って言ってるのにさあー。白砂糖でも入れてるんじゃないのー?」
というご意見を頂戴致しますが、上記の理由により、“甘みを感じるほどリッチな果実感”なので、白砂糖を入れている訳ではございませんですよっ!
さて、文中に出てきた「キツネとぶどう」というお話し。イソップですか?グリム童話ですか?という質問をちょいちょい頂くので、国会図書館で調べて来ました。
結論は、どちらでもなく、作者不明。作者不明なお話しばかりがまとまっている絵本に掲載されていました。
どんなお話しかと言うと、、、
たわわに実った葡萄の木の下で、一匹のキツネくんが葡萄を食べたいのに、手が?足が?届かない!
くやしぃ~(>_<) と、キツネくん。葡萄に向かって「どうせ酸っぱいんだろ!」と捨て台詞を吐いて立ち去った、というお話し。
それを逆手に取って、自分の造ったワインのエチケットにしてしまうなんて、ベッカーさん素敵すぎる! 私が彼の写真を初めてみた時は、葉巻を加えた横顔で、超が10個つく位、渋いおじさまに、文字どおり惚れてしまいました。
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