萬斎さんの『三番叟(さんばそう)』
伝統芸能のひとつである『三番叟(さんばそう)』。振り付けによってだいぶ装いが違いますね。
先日、野村萬斎さんが舞った三番叟を偶然テレビで観ることができました。
もともと能楽では狂言師が演じるものなのですが、どうしても歌舞伎で舞踏として取り上げられる機会が多いので、狂言師である萬斎さんが演じるのを観るチャンス、テレビではなかなかなかったのです。
(萬斎さんファンとしては、至福の舞いですな。ま、個人感情は棚上げして、、笑)
蛇足ですが、この三番叟を17歳で彼が演じた時に、彼は狂言を心底面白いと思い、狂言師を自覚した、と言われている位ですから、感慨深い作品です。
もしこれを高校生の時に演じなかったら、今の萬斎さんは少し違っていたかもしれない??
三番叟というのは、元々は室町時代には既に存在していた3演目の3番目の演目です。1、2番目は聖職者である呪師が演じましたが、この3番目だけは呪師に代わって猿楽、つまり狂言師が演じていたらしく、今現在も一番取り上げられることが多い舞いです。
五穀豊穣を願う農民の舞いと言ってもよいのでしょう。
先日、私が見たのは萬斎さんと歌舞伎役者とのいわばコラボで、歌舞伎役者は顔を最初から隈取していましたが、狂言師である萬斎さんは、古来からの舞いの通り、前半は面を付けず、後半になってから面を付けて舞いました。
歌舞伎舞踏で何度も見てきたのですが、きちんと意味を考えて見たことはなく、いつも、視点は誰の踊りが自分好みかな、とか、振り付けはどうかな、とか。
今回、初めて前半と後半の舞いの意味の違いを意識して見てみると、いや、面白かったわ、、。
萬斎さんがよく言っている、動きのひとつひとつに意味があって、それを意識するかしないかで舞いが変わってくる、というのが、凄くよく理解できました。
舞いは前半、後半に分かれます。前半は「揉ノ段」、後半は「鈴ノ段」。
前半の「揉ノ段」は、面を付けず、足拍子を力強く、しかし軽快に活発に踏むことで、農作の地固めをしています。
後半の「鈴ノ段」は、黒式尉(こくしきじょう、黒の能面のこと)を付け、鈴を振りながら舞うのですが、これは種まきですね。豊作祈願の老人の舞いです。
狂言でよく観る黒式尉は、髭の長い、如何にも老人じいちゃんを想わせるものが多いですが、先日、萬斎さんが付けた面の髭、そんなに長くなくて、老人というより、もう少し若い、働き盛りを連想したのは、舞い手が萬斎さんだからだったからでしょうか?
ほら、好きな人が出ていると何でもよく見えてしまう、あれです、あれ、ファン心理?笑
ま、短い時間でしたが、堪能できました。
3つの演目のうち、2番目の演目の「翁」、これもたまに狂言や歌舞伎で取り上げられていますが、それ以上に現代まで広く長く影響を与えてきたのは、この『三番叟』です。
歌舞伎の舞踏だけでなく、人形浄瑠璃とか、また祝言の舞いとしても残されているので、以前、お呼ばれした結婚式で、知人が舞ったのを観たことがあります。あれはなかなか素敵な余興でした。
僅かな時間でも、会場が静まり、一種の緊張感がみなぎります。小さな子供ですら、真剣に舞いを観ていて、終わったあとはおもしろーいと大人以上に喜んでいたのが、ちょっと嬉しくなったものです。
演舞、というのは、なかなかよいものだな、と改めて認識できた時間でした。今ではなかなか、そんな話も、聞かなくなりましたね。
今年は、いや、今年も、雨の被害が大きくて、これから段々、年々、台風の被害はひどくなっていくのでしょう。
五穀豊穣の舞いが舞われていた昔々が、どんどん遠のいていきます。
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今日のお薦めのワイン
フリードリヒ・ベッカー / プティ・ロゼ 2017年
https://nuimama-ny152.shop/?pid=136653091
生産者 : フリードリヒ・ベッカー
地 域 : ドイツ > ファルツ地方
品 種 : ピノ・ムニエ70%位、ピノ・ノワール20%位、ボルトギーザー10%位、他
戦後、ドイツがまだ甘口ワイン用ブドウばかりを栽培していた「質より量」の時代、ファルツの一大協同組合の跡取りだったフリードリヒ・ベッカー氏は、フランスから続くその恵まれた土壌とピノ・ノワールに魅入られ、協同組合を脱退、1973年に独立。当初、貴腐ワイン用のブドウばかり栽培していた周囲から「酸っぱくてまずいブドウ」のレッテルを張られ(この時の逸話を童話「キツネとぶどう」に重ねて個性的なエチケットが誕生した)、激しい非難を浴びながらも、不断の努力とセンスにより、ドイツのピノ・ノワールのトップに上り詰め、そしてゴーミヨ誌にて前人未到の最優秀赤ワイン賞を8回受賞、世界に名だたる生産者となりました。
『ドイツのDRC』と讃えられるようになって久しいフリードリヒ・ベッカー醸造所。フランス・ブルゴーニュよりさらに北で冷涼な南ファルツのシュヴァイゲン村にあります。今もなお、進化を続けているベッカー氏が、自宅用に作っているのがこのロゼです。
毎年、セパージュと味わいが変わるのが楽しみのひとつ。彼が作るまさに気紛れワイン。ステンレスタンクで熟成させているのでフルーティですが、芯があり、どの年を飲んでもしっかりバランスの取れた味わいに仕上がっていて、ファンは毎年、このワインの到着を待ちわびています。
2017年、今年はピノ・ムニエが多いロゼです。
さて、文中に出てきた「キツネとぶどう」というお話し。イソップですか?グリム童話ですか?という質問をちょいちょい頂くので、国会図書館で調べて来ました。どちらでもなく、作者不明。作者不明なお話しばかりがまとまっている絵本に掲載されていましたが、実はその後に、黒磯のとある喫茶店に置いてあった違う絵本の中に、やはりこの話が載っていて、聞いたこともない作者だったので、後ろをめくってみると、作者不明のお話しをまとめましたというコメントがありました。
たわわに実った葡萄の木の下で、一匹のキツネくんが葡萄を食べたいのに、手が?足が?届かない!
くやしぃ~(>_<) と、キツネくん、葡萄に向かって「どうせ酸っぱいんだろ!」と捨て台詞を吐いて立ち去った、というお話し。
それを逆手に取って、自分の造ったワインのエチケットにしてしまうなんて、ベッカーさん素敵すぎますね。葉巻を加えた横顔が、超が10個つく位、渋いおじさまです。
どうでもよいことなのですが、今日、11月1日は犬の日らしいです。11/1でワンワンワン、だからお犬さま。ですが、1/1も1/11も犬の日になってしまうわけですよ。ま、いいか。笑
我が家の四つ足の息子くんは「だからナニ?」的に、今日ものんびり構えてました。
のんびり、ゆったり、何事もなく、が一番ですね。
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