B級洋画『黒い瞳』
先日、お客様から唐突に、小さい時に見て感動した映画は何?と聞かれ、、。
私が6、7歳頃だったら即答するのは『黒い瞳』と『穢れなき悪戯』。これをおいて他にはない位、泣いた泣いた。笑
『穢れなき悪戯』はこれは有名過ぎるので、ウィキペディアでも検索できるでしょう、知らない方はセルフで検索して頂くとして、問題なのは『黒い瞳』。このタイトルで引くと、1988年のマルチェロ・マストロヤンニの映画しが出てこない?! 私が6歳頃にテレビに降りてきたということは遅くとも1950年代には映画になっていた筈。だろうと思い、1950年代の洋画一覧、ガバーーーーーーーーとスクロールしてみましたが、ない、ない、ない。あれ? 私タイトル、間違えて覚えている??可能性大ですね。
私の父は、独身時代、3日に1回は映画館に通っていたというシネマ大好きオタク。邦画・西部劇は一切興味なかったようで、もっぱらヨーロッパ、たまにアメリカだったようです。それだけの数を観ているので、相当なB級クラスまで観ていたのではなかろうかと。そんな映画好きですから、私にもテレビで映画だけは観させてくれました。母は私自らがテレビをつけることを許しはしませんでしたが、父がつけた時は映画OKだったのです。しかも父は、母がお風呂に入った時は必ず、と言っていい程、洋画を見せてくれました。何せ入浴中だけですから、時間はそんなにないし、しかも全てが中途半端だし、、で、幼心に欲求不満に陥りそうでしたが。
『黒い瞳』らしきタイトルのその映画は、殆ど台詞がない短編で、しかも登場人物は殺人犯とおぼしき男と、逃げてきた男を目撃しまう少年だけ。最初と最後にちょろっと登場する警察官以外は、大半を犯人と小さな男の子だけで台詞も殆どなく時が流れます。犯人が隠れた納屋らしき掘っ立て小屋に、たまたまいた男の子。何故、その子がその場所にいたのかは忘れたのですが、隠れた犯人を納屋の中の雑穀袋の隙間から覗いて見てしまいます。その時、目が合うのです、犯人と。それが黒い瞳。
映画の大半を占める感情は緊迫感と、僅かな温もり。それ以外は特に何もないと言ってもよい恐らくはB級作品。見つめ合った黒い瞳を少年(記憶が確かであれば当時の私と同じ年頃)は怖いとは思わず、夕方になって(恐らく)親からご飯か何かで呼ばれたのでしょう、黙って小屋を出て行きます。怪我をして動けなくなっていた犯人は再び納屋を出て行こうとはするのですが、もはや逃げるだけの力が残ってはおらず、一晩をその納屋で過ごします。そしてあくる日、少年はパンを持って再び納屋に向かいます。
前日、隙間から覗いた雑穀袋のところへ行くと、そこからパンを犯人側へ差し入れるのです。
犯人と少年は最後まで互いの顔はまともには見ていません。二人とも見たのは互いの「目」だけ。何が少年にパンを持って行かせたのか、そして犯人も、少年には一切危害を加えようとはせず、通報されるのは承知の上で少年が家に戻る時も黙って行かせます。
自分には危害を加えない相手のことを大人には喋ろうとしなかった子供。何度か、パンだけのやり取りが交わされ、やがて足跡から警察官に辿られ、彼らが納屋に踏み込んだその時も、少年は雑穀袋から顔は出さずにすべてを見ています。その手には渡すことのできない最後のパンと水が、、、。
犯人は、全くの抵抗もせずに捕まります。振り返ったその黒い瞳が少し潤んでいて、、、歩けるのになんで逃げなかったのだろう、と、小さかった私にはそれが疑問でした。怪我をしていたとしても、何故?
犯人役の男性の黒い瞳は澄んでいて、とても綺麗な瞳で、もし私だったらどうしただろう?と想像したら、やはりあの子と同じことをしたかもしれない、と思ったものでした。
今だったら、あの子の命もなかったかもしれませんね。
今時の、血気盛んで相手を殺すしか能のない、殺人犯に見せてやりたい。
今日のお薦めのワインは2本です。
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まず1本目のお薦めは
ベルターニ / アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ 2015年
https://nuimama-ny152.shop/?pid=145045293
生産者 : ベルターニ社
地 域 : イタリア > ヴェネト州
品 種 : コルヴィーナ80%、ロンディネッラ20%
ワインの銘醸地ヴェネト州の中心とも言えるヴェローナで、高品質ワインを造り続けるベルターニ社。後にその功績によってカバリエーレ(ナイト)の称号を与えられたベルターニ兄弟によって、同地で最初のワイナリーとして設立されました。1857年のことです。その歴史と伝統と進取の精神を今に受け継ぎながら、常に新しいワインを創造し続け、世界中で高い評価を受けています。
厳選した健康な完熟ブドウを収穫。手作業で毎日様子を見ながら、脱水機械を使わずに120日間棚の上で自然な状態で乾燥させ、長期間熟成させて丁寧に作られるワイン。
アマローネを特徴づける独特の香りはこの陰干しブドウを使って醸造することによるもので、フレッシュなブドウのみから造られる他のワインとは全く違う特徴を持っています。
スラヴォニア産オーク樽とバリック(小樽)で約30ヶ月熟成。
チェリーのフレーバーや、ドライプラム、カカオの香り。赤い果実の味わいが口いっぱいに広がり、タンニンはソフトで滑らか。濃厚な風味があるフルボディのワインです。
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2本目のお薦めは
マサック / カヴァ・ビブラシオン・ブリュット NV
https://nuimama-ny152.shop/?pid=145045329
生産者 : マサック
地 域 : スペイン > カタルーニャ州 > ペネデス
品 種 : チャレロ40%、マカベオ35%、パレリャーダ25%
ペネデスの中心、畑は標高300~350mの間。穏やかな冬とやや暑い夏、少ない降水量、土壌は粘土、砂、シスト、石灰岩と多様で複雑性を与えています。1985年、現オーナーの父親により醸造設備が整えられ、現在まで安定したカヴァを造り続けています。
環境を尊重し、下水を再利用、リサイクル可能な容器包装などに心がけています。
ステンレスタンクにて熟成、12ヶ月間ボトル熟成。味わいの特徴を表現した爽やかなグリーンアップルカラーのエチケットが目印。
熟したフルーツ、長く続く細やかな泡。青リンゴを想わせる爽やかな酸と飲みやすさが特徴。デイリーにはもってこいの使いやすいカヴァです。
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