ワイン手帖

ワインショップ「Shopgirl_NY152 」 エッセイ&ワインこぼれ話

『ブショネ』とはなんですか?

 

ワインを召し上がる方でしたら、一度は聞いたことのある言葉、『ブショネ』

よく、略して私たちは「ブー」という表現をします。これはいったい何のことでしょうか。

 

わかりやすく言うと、ワインの製造過程で、コルクをボトルに入れる際に、菌がボトルの中に入ってしまい、ワインが臭くなること。これを専門的に小難しく言うと、コルクの真髄にある “カビ” 菌が塩素消毒した時に発生するトリクロロアニソールという物質の臭い。読んで字の如し、この場合のにおいはずばり「臭い(くさい)」です。

一般にコルク臭、カビ臭い、濡れた雑巾を放置しておいたようなにおい、と言われているように、兎に角、「おえっ」とするような臭いで、この香りがした時のワインは、どれも例外なく「まずい」。時間がたったからと言って消えるものではありません。

 

で、ここからが今日の本題、実はよくあることなのですが、

「これブショネなので交換してください」

というお客様が意外に多いということ。その場合、店舗でしたら、スタッフ全員がブショネと認めた場合には、交換もしくは同じ商品がない場合は返金、というところが多いかと思われますが、、、、、。

この約15年ほどで、お客様から持ち込まれたワインの中で、本当にブショネだったことはなんと1度もありませんでした。

 

では、それらはなんだったのか。ここからはお客様側からすれば「失礼な」ことに相当しますので、嫌な方はスルーしてください。

 

お客様の

①知識及び経験不足により、それがワイン本来の香りであるにもかかわらず、ブショネだと勘違いした場合

②知識及び経験不足により、イメージとして感じた場合

③好みのワインではなかった場合

 

などが考えられます。

 

まず、①の場合

大好きな葡萄品種だから間違う訳がない、という思い込みのある方がいらっしゃいます。ピノ・ノワール大好き、カベルネ・ソーヴィニヨン大好き、だから、他の人より詳しいよ、という方。

ピノ・ノワールの香りと言っても、教則本には「ベリー系の香り」とあるだけ。土からくる香りなのか、水からくるのか、動物性なのか、はたまた血液のような要素があるのか、国が違っても変わってきますし、同じ国でも作る人によっても変わってきます。同じベリーでも、こちらの人はストロベリー系だけど、そちらの人のはブラックベリー系だ、とか、基本路線は同じでもプラスアルファされたものが凄く違うわけです。

ですから、自分の知らない香り=ブショネ、と決めつけてしまうパターンが一番多い。

 

②に関しても同じで、ブショネとはきっとこういう香りのことだろう、と自分で想像してイメージしてしまった場合。確かに何かをイメージするのは、非常に大切なことなのですが、間違ってイメージされたものが、その方の中では絶対数値になってしまっているということ。

 

③は、これは論外ですが、自分の好みのものでない場合、つまり、美味しくないワイン=美味しそうな香りがしないワイン=いいワインである筈がない=悪いワイン=ブショネ、という図式が完成している場合。

 

正直言って、どれも厄介です。

この世の中に「駄目なワイン」というのは存在しません。正確に言えば悪くなってしまったワイン、ならあります。それがブショネのワイン。3~5%と言う方もいらっしゃるほど、高い比率です。100本の内、最低でも3本ある訳ですから、当たる確率は確かに低くはないのです。

 

ですが、上記の3つの理由によって持ち込まれるものが大半(遠慮して大半と言っておきます)で、本当のブショネで持ち込まれたものがない、ほど、間違った認識をしている方が多いのもまた事実です。

 

好みではないワインを買った方の交換を受け入れていたら、常識的に考えてもこれはもう商売になりませんよね。

ですが、実際問題としては、これが気まずいのなんのって。

あなたの知識(なり経験なり)が不足しているよー、と暗に言っているようなものですから。。。

 

ですから、もし、これアヤシイ? と思ったら、

「これブショネよ、こんなもの売って、お金とるのっ!」

と、怒鳴り込むのではなく、まずスタッフに聞いてみましょう!

「このワインて、こんな香り、するものなんですか?」

とかって、やんわりと。

あなたがやんわり下手に出ても、本当のブショネなら、戻ってくる答えはひとつ

「申し訳ありません」

です。もし、ブショネでなかったら、丁寧なスタッフなら、そのワインの特徴を沢山教えてくれる筈です。

 

ちょっと待て。ブショネかどうかは聞いてみよ。

 

 

これを読んでくださった皆様が、沢山の美味しい(あなたにとっての)ワインに出会えますように。

 

 

 

 

 

今日のお薦めのワインは2本

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1本目のお薦めのワインは

クラインクネヒト / シルヴァネール 2016年

https://nuimama-ny152.shop/?pid=144959631

 

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クラインクネヒト / シルヴァネール 2016年

 

 アルザス地方は北のBAS RHIN県と南のHAUT RHIN県の2つの行政から成立つワイン産地で、フランスでも2番目にGNPの高い豊かな地方です。
 1位は勿論パリ市のイル・ド・フランスですから、実質地方都市としては断トツです。ドイツと隣接し、標識も目に付くアナウンスはフランス語とドイツ語の2つで書かれています。


 そのストラスブールのバーラン県に位置する小さな村、ミッテルベルガイムで7代続く名門クラインクネヒト家。長男アンドレ・クラインクネヒト氏は1968年生まれ。1991年からワイナリーを手伝い、醸造家として25年以上の経験豊富な乗りに乗った今働き盛りの生産者です。父は2002年に引退、その後はアンドレが全て引き継ぎ、その当時7.5㏊の規模でしたが、ゆっくりと畑を買い増し、現在は9.5㏊の所有者となりました。


 1998年にBIOに切り替え、2012年からバイオダイナミック農法に切り替えました。デメテールには2014年から申請。瓶詰めは祖父の時代から始め、父の時代は馬で畑を耕していましたが、今は馬を手放し、今は時々友人の馬を借りて畑の一部を耕しています。畑は無農薬ですが、ナチュラルワインに切り替えたのは最近です。彼のラインの半分以上は無農薬ワインですが、醸造過程に拘るナチュラルワインではありません。SO2を使用しないワインの存在は知ってはいたけど、なかなか踏み切れなかったのです。

 そんな時、クリスチャン・ビネール氏やパトリック・メイエー氏と出会い、「自分でも実践してみよう!」と決意しました。ご存知の通り、今はジュラ地方やアルザス地方で、若い生産者がどんどんナチュラルワインを作り始めています。アルザスは元々バイオダイナミックの本拠地でしたが、なかなか浸透しませんでした。が、この2~3年アンドレのような若い生産者が一気にナチュラルワインの世界に足を踏み入れ、新たな時代が到来しているのです。

 彼の古いスタイルのワインはすでに日本に入っていましたが、新しいスタイルのワインが、今回インポーターのディオニー社と取引開始しました。


Pinot Blanc 33% Riesling 29% Pinot Gris 9% Muscat 1% 
Gewurztraminer 10% Pinot Noir 8% Chardonnay 2% Sylvaner 2% 他6%


 アンドレは近所の農業高校でワインを学びましたが、その頃学んだ事はすっかり忘れているし、実践的ではないと笑っていました。彼は無農薬の生産者が少ない98年~無農薬に挑戦し、自分で自ら勉強したのです。学校で学ぶより畑で色々実戦で学んで来た、たたき上げの醸造家です。父の代では化学肥料を使っており、実際は父よりも自ら見聞きしてアンドレの栽培方法を身に着けました。

 ナチュラルワインへは2015年に転向しましたが、畑に対する愛情・知識は半端ではありません。ドイツ人のような几帳面な性格で、一つ一つ慎重に丁寧に仕事を進めますですから今年より来年、来年より再来年と確実にワインの味わいに反映される事間違いなし。

 今までは地元で殆ど消費されていましたが、これから色々な企画をアンドレとディオニー社一緒に開発する予定ですので、楽しみにしていて下さい。(ディオニー社公式HPより)

 

 アンドレ曰く、2016年はベト病で悩まされたそうです。泥炭土で育つシルヴァネールをプレス、ステンレスタンクで13ヶ月の長期間発酵後、フードルで12ヶ月熟成。無濾過・無清澄。瓶詰めは2017年10月。


 やや青みを帯びたライトイエローの色調、ほんのりとハーブの香り。ふくよかな口当たりで、優しく流れ込む液体は甘さの中に酸味と旨みを包括しています。

 

 

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2本目のお薦めのワインは

ドゥーカ・ディ・サラバルータ / コルヴォ・ピノ・ノワール 2016年

https://nuimama-ny152.shop/?pid=145044493

 

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ドゥーカ・ディ・サラバルータ / コルヴォ・ピノ・ノワール 2016年

 

生産者 : ドゥーカ・ディ・サラバルータ社

地 域 : イタリア > シチリア州

品 種 : ピノ・ノワール100%


 創業1824年。ブドウ栽培の歴史はイタリアで最古と考えられ、豊かな自然の恩恵のもと、現在も国内最大州のワイン生産量を誇るシチリア。そのシチリア州を代表するワインの造り手がドゥーカ・ディ・サラバルータ社。21世紀に入り、優れた畑や醸造設備の購入に莫大な投資を行い、新しいエノロゴ(醸造責任者)を招聘するなど、培ってきた伝統を受けつぎながら新たな歴史の1ページを刻んでいます。

 シチリア北東部のエトナの丘陵で栽培されたピノ・ノワールを、約6ヶ月フレンチオークのバリック(小樽)で熟成させて作ったやや辛口のミディアムボディです。


 ブルーベリーやブラックベリーなどの野生のフルーツ、スパイスの複雑で濃厚な香り。丸みがあり、しっかりした酸味とボディがあります。やさしいタンニンとバニラ、ドライフルーツの味わいが特徴。グリルした赤身肉や熟成チーズとよく合います。
 イタリアの赤ワインは全てフルボディで重たい、と敬遠されている方にもお薦めです。

 

 

 

 

 

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