ワイン手帖

ワインショップ「Shopgirl_NY152 」 エッセイ&ワインこぼれ話

百鬼夜行抄

 

 今市子さん作の、『百鬼夜行抄』という怖くて面白いマンガをご存知ですか?

 

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今夜は飲みながら話しましょうか、、、

 

主人公は、飯島律という16歳の少年で、彼の亡くなった祖父は蝸牛(かぎゅう)というペンネームを持つ幻想文学の小説家だったのだが、

 

小説を書く為に、蝸牛は自分の寿命と引き換えに冥界から八匹の妖魔を呼び寄せて操っていた。ところが、段々と邪魔になってしまう。自分が死んだあと、この妖魔たちを野放しにする訳にはいかないと思った蝸牛は、八匹のうちの“青嵐”という龍の姿を持つ妖魔と最後の取引をする。

自分が死んだら、あとの七匹の妖魔を食ってよい、その代わりに跡取りの孫の律の身を生涯守るという約束を交わして。

 

物語は蝸牛の初七日の夜に、飯島家に呼ばれた七匹の妖魔を、青嵐が食べるところからスタートする。

 

とまあ、のっけから、世間一般にはありえないストーリー展開なのだが、面白いの何のって、一気に読めてしまう。

 

実は私の知り合いにも、律と同じように、見えなくてよいものが見えてしまう少女がひとり、おりました。

 

 

 

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少女の名前は “おいちさん”。後に、結婚して、“きよえさん”と“ふさえさん”という二人の娘の母になる。まだ若い母親が、小さな子供を寝かしつけるのに最もよく使う手は、お話しを聞かせてあげることだろう。“おいちさん”は、自分の若かりし頃に体験した一般的にはこわ~い話を、次女の“ふさえさん”の寝物語にひとつずつ聞かせたらしい。

 

それは百物語でもできそうな量で、“ふさえさん” は大人になるにつれ段々と忘れていったのだが、印象的で忘れられない、あるいは忘れたくない話を、孫ではない私に話してくれた。

田舎が遠かった私は、周りの友達たちのように「おじいちゃんおばあちゃん」の家には滅多に行けず、その代わり、夏休みになると“ふさえさん”のところに泊まりに行っていた。彼女は、おいちさんから聞いた、この世とは少し違った世界の話を、それはそれは面白おかしく話してくれたものである。

だが、それはどれもが真実だったので、私には、何故、周りの人がそれらを見えないのか、何故、頭から存在しないものとして扱うのかが、わからなかった。

 

見えないものも存在する。

 

紛れもなく、存在するのである。

 

 

 

 

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今日のお薦めのワイン

ドリーム・タイム・パス / スパークリング・レッド

https://nuimama-ny152.shop/?pid=135267019

 

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ドリーム・タイム・パス / スパークリング・レッド

 

生産者 : ドリーム・タイム・パス

地 域 : オーストラリア > サウス・イースタン・オーストライア

品 種 : シラーズ100%

 

 デイリーワインに要求されている事とはなんだろう?   と考えた時に、、、

 

親しみやすい風味、安定した品質、高い信頼性とコストパフォーマンス。それはオーストラリアが得意とする一分野でもあるわけで。1日の終わりにグラスを傾け、ゆったりと夢の世界に遊ぶイメージをネーミングしたこのワイン、実はヴィレッジ・セラーズ(このワインの輸入元)のオリジナルブランドなのです。

 

 しかも、これは、一般的に売られているスパークリング・レッドではなく、ショップが寝かせた(現行のものより更に瓶内で熟成)もの。ゆえに、現在、店頭に販売されているものとは中身が異なります。では、どんな風に違うのか、を少し詳しくご紹介しましょう。

 

  まず、見た目。スパークリングワインですが、グラスに注いだ時に大きな泡はたちません。一瞬、普通の赤ワインを注がれたのかと錯覚する程、ほとんど泡なし。ところが、口に含めばはっきりとかつては泡物だったことがわかりますが、泡が溶け込んでいて非常にマイルドなので、きつい発泡が好みではない方も、この位なら、大丈夫では?と思います。

 

  次に甘み。もともとは甘口として造られているので、辛口になった、化けた、訳ではないのですが、本来の甘さが落ち着き、感じ方はほんのり甘みがある、程度に。現行のワインに比べ、よりまろやかになっています。スパークリング用のグラス、または小さめのグラスですと、かつての甘さが目立つように感じるので、むしろ “通常の赤ワイン用のグラス“ をお薦めします。元々が泡なので、かなり冷やした方が、美味しいです。

 

 ワインが初めて、という方は勿論のこと、泡や甘みが苦手な方にも、食事に合わせ易くて、こんなワインからスタートして頂けたらな、これからのワイン人生?が楽しいのでは、と思うのです。

 

 ちなみに豚のステーキと合わせたところ絶品となりました。皆さまのイメージでは、豚肉に合わせるのだから、しっかりフルボディタイプ(どっしり重ため)の赤ワイン、重たくなくてもせめて普通の辛口の赤ワインなのでは?と想った筈。それが、泡?甘め?と、頭の中を“?”が飛び交っていることでしょう。ところが、、、これを食したメンバー全員一致で、

 「超旨~~」

とか、

「幸せ~~~」

という表現が飛び、こんなの飲んだことない!が等しい感想で、皆様に喜んで頂けました。

企画した私としてとても嬉しい感想を頂けて、やった甲斐がありました。泡も少し寝かせると、随分と雰囲気が変わるので、楽しいです!

なかなか一般のご家庭で、2000円台クラスのワインを何年も寝かせること自体が難しいかと思われますので、出会った時がチャンスですね。これぞまさしく一期一会です。

「渋谷のギャルかと思ったら、山の手のお嬢様だったのね~! ビックリポンやわ!」

と一人の女性が漏らしていました。

 

 

 

そうそう、おいちさんのDNAって、誰にいったのでしょうね?

子供の“きよえさん”と“ふさえさん”を飛び越え、孫たちをも飛び越え、なんと曾孫にいったらしいですよ。

 

見えないものは存在する。

ワインのお味だって具体的に、目には見えませんよね。でも美味しさは存在しますよね、、、。

それとなんら変わりはないと思うのですよ。

 

 

 

私の祖母の名前はきよえさん。

 

 

 

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